第25章 加賀の決断
そして加賀も退院し、今季最後のGPの為に皆日本に向かっていった。
「雅ちゃんは?ホテル?それとも都内なら実家?」
「…え、っと…私は…」
「どうかした?」
「雅ちゃんは私と一緒に」
そう言ってクレアが後ろから助け舟を出す。
「…え、でもクレアさんは兄さんと…」
「あー、そうねぇ…修さんは良くても雅ちゃんが居づらいかしら…」
「…そんな事はないですけど…」
「それとも加賀さんの所に行く当てでも?」
「…それはない!…ですけど…」
「あら、そうなの?」
そう話すのを聞いてあすかは何かを察した。
「…ならうちに来たら?」
「え?!な、…そ…へ?!」
「解らないから…」
「でも…そんな…オーナー…もいるんじゃ、あ、でもさっきクレアさんとって…」
「そうよ。だからパパとママがいる位」
「…へ?」
「あら、ご挨拶してきたらいいわよ!」
「…ちょ、・・・え…っと」
「大丈夫、パパたちは雅ちゃんの事知ってるし!」
ニコッと笑うあすかを見て大丈夫かなぁ…と少し不安に思いつつも雅はお邪魔することを決めた。
空港に着いた時、あすかの顔は一気に明るくなる。代わりにハヤトの表情は少しずつ硬くなってくる。
「…パパ!」
「あすか、お疲れ様」
「ただいま!」
「ただいま帰りました。」
「あぁ。修もお疲れ、クレアさんも」
「こんにちは、ご無沙汰してます」
「ハヤト君、元気そうだな」
「あ、はい…おじ、さん…」
「はは、いい加減慣れてくれないと…もう何年になると思ってるんだ。」
「あ、はい…ッッ」
「それと…」
そう言って菅生は雅の元に向かってきた。
「…君がアンリのサポートメントだね」
「あ、初めまして…真坂雅です」
「よろしく。僕の事をどれだけクレアさんから聞いてるかはわからないが…」
「そのくらいにしておきませんか?」
「…クスクス…まぁ、君がそういうなら」
「…あの、菅生さん、でよろしいでしょうか…」
「ん?あぁ、そうか。オーナーは今修か」
「…まぁ。」
「好きに呼んでくれて構わないよ」