第21章 狂おしいほどの夜
そうして夕方の十八時…雅のスマホが鳴った。
『1321。今着いた。』
そのメールを見ると雅は急いで部屋を後にする。13階までエレベーターで上がれば21号室を探す。
「ここだ…」
コンコン…っと躊躇いがちに戸を叩けば時期に扉が開く。ゆっくりと中に入って扉を閉め、振り返るとすぐに加賀に扉に押さえつけられた。
「…じょうく…ン…」
力ずくで押さえつける訳でもなく、だけど簡単には逃げられない…頬を両手で包まれながらも雅の唇は息を吐く間も無いほどに加賀に塞がれていた。
「……ン…ッフ…ン」
軽く吐息が漏れ出す。それまでも取り込まれるように加賀の唇は離れる事はなかった。いつの間にかゆっくりと舌が入り込んでくる。
ちゅくりと交じり合う唾液の音が静かすぎる部屋に響きだした時だった。
「…ハァ…」
ゆっくりと離れた加賀はそっと抱き寄せる。
「悪い…がっつきすぎた…」
「…城君…」
「雅…」
小さくぽつりと名前を呼ぶ加賀の声に雅はこらえられなくなりきゅっと背中に巻き付いていった。
「会いたかった…」
「知ってる」
「…ッッ今夜は…泊まるの?」
「そのつもりだ」
「じゃぁ…離れなくてもいい…?」
「てか、悪いが…離すつもりはねぇよ」
そう囁くように、雅にしか届けることも無いほどに小さく加賀はぽつぽつと話し出す。
「…よかった…」
「ん?何が…」
「ずっと離れてて…城君の気持ちがどっかに飛んでっちゃってたらって思ってたから…」
「飛んでくかよ。」
ゆっくりと離れれば顔を見てこつりと額を合わせる。
「…心配しなくても俺は雅の隣にいるから」
「城…くん…」
「それに、さっきの続きも聞かねぇと…」
そう話すのだった。