第20章 今日子の想い
そうして翌日、指定された時間に待っていますと言われた会議室に向かっていく修と雅。
コンコン…
『どうぞ?』
ノックから時期に中からは今日子の声がした。
「…失礼します。」
「いえ、ごめんなさいね?私の方こそ…」
そう言って今日子は席を立ち上がる。促されて修は雅と一緒に席に着く。
「本日はお時間いただきましてすみません、ありがとうございます。」
「こちらこそ。」
「それで、早速本題に入ってもよろしいでしょうか?」
そう今日子が切り出した。今日子の横には加賀、修の横には雅が座っている。
「…先日、と言っても聞いたのは昨日で…スゴウの真坂さんと付き合っていると、うちの加賀から聞きまして…」
「はい、私の方も存じております。」
「そう、なんですね。あの、聞かれたのはいつ頃…」
「二か月、三か月くらい前だったか?」
「そんな前…ッッ」
「その間もうちのクルー含め、一部の人間しか知らされていなかったと思います。」
「そうなんですね…」
「その間も加賀君の成績は落ちるどころかうちのハヤトも手を焼くほど…着実にポイントを重ねてきていますし…」
「そうなんですが…」
修は少し悔しそうともとれる物言いで今日子に話し出した。
「…それで、この機をお伺いしたいのですが、」
「何かしら」
「この二人の関係をどうされたいとお考えでしょうか?」
修から突然の言葉に、加賀の眉がピクリと動き、雅の肩も震えた。
「…私は…このまま交際を続けるのは問題ないかとは思います。ただ…」
「ただ?」
「……加賀は、今季、グランプリを取った場合サイバーを引退する予定になっているんです。いつまでもここにいる訳じゃない…それはご存じかしら?」
「真坂?」
不意に雅に話を振られた。しかしそれは雅も解っていたことだった。