第20章 今日子の想い
その日の夜、ホテルに着いた時、フロントのスタッフから修は呼び止められた。
「…すみません、今よろしいでしょうか?」
「…何か?」
「いえ、伝言を預かっておりまして…」
その一言で修はピン…と察した。
「…はい。」
『こちらを…』と差し出されたメモを確認すれば小さくため息を吐いた。
「…ありがとうございます。」
そうしてフロント前から去っていく。雅に連絡をして明日、今日子との話し合いがあることを伝えた。
『あの、オーナー…』
「なんだ」
『それって…もしかしなくても…』
「あぁ、その思って居る事、間違いないと思う。」
『…そうですか…、予選前の大事な夜に、申し訳ありません…』
「いや、それはいい。うち的にはミーティングも終了したタイミング。しかもハヤトとアンリは呼び出す必要もないから、問題はない。」
『…そうは言いましても…』
「二人が付き合うというなら、これは避けて通れないことだ。少なくとも俺的には遅い位だと思っている。」
『すみません…ありがとうございます。』
「いや、それじゃぁ、頼むな」
そうして通話も切れた。小さなため息を吐いて雅はメールを入れようか迷って居た。その時だ。
「…ッッ」
『明日そっちに行く。心配はしなくてもいい』
そう、加賀からのメールだ。先に入ってきたのだ。
「…城君…」
小さく名前を呼ぶ雅。そのまま、加賀にメールを入れる。
『ん、待ってる』
『わりぃな、今日、昼間に今日子さんに話してさ』
『そか、なんか急だなとは思ったんだけど』
『いろいろと面倒かもしれねぇけど』
『大丈夫だよ!』
そう入れれば、リアクションのみ入ってメールは途切れた。