第20章 今日子の想い
「…来たか」
ポツリと呟けば『ありがとう』と伝えて今日子の元に向かう。
「おまたせしました。どうかなさいましたか?」
「急で申し訳ないんですけど、明日の夜、お時間頂けるかしら?」
「どういったご要件で?」
「うちのAOIZIPのブリード加賀と、そちらの真坂さんの今後、と言えば…思い当たるフシは無いかしら」
「……わかりました。本人同席でよろしいでしょうか?」
「えぇ。場所なんですけれど、そちらのホテルに私達伺いますわ、教えていただけるかしら。」
そうして、修はするりとホテル名を伝えた。それを聞いて今日子は頭を下げ、その場を離れAOIのガレージに戻っていった。それを見てAOI、スゴウの両チームのクルーはざわざわとしていた。
『もしかして彼女ってスゴウの…?』
『まさかなそこ!?』
『てか…やっぱ付き合ってたか』
『…だろうな』
色々な声が聞こえてくる。しかしいつもと変わらない雰囲気な二人の関係を知っている面子と当人たち。
「アンリ?」
「何?」
「…ごめんね?」
「なんで雅が謝るんだよ。てかもし仮に今、他の人と一緒のタイミングで知るなんてなったらそりゃ怒るけどね」
「…でも…走りにくいんじゃない?」
「なんで?」
「…ッッ」
「大丈夫だよ。僕は変わらない。」
「…ありがとう」
何故かいつもと立場が逆転している二人だった。修やクレアもやっと来たかという気持ちでたくさんだった。