第20章 今日子の想い
一方トランクルームでは今日子と加賀が話を始めていた。
「それで?誰なの?」
「んー、必要ある?」
「そりゃ…!…他チーム、よね」
「まぁな。」
「…ハァ…先方は知ってるの?」
「あぁ、知ってるはずだ。」
「挨拶しないといけないじゃない…」
「それは今日子さんに任せる」
「…解ったわ…」
そう言うと立ち上がる加賀の背中に声をかけた。
「加賀くん!」
「何だよ」
「確認させて?そのお相手、スゴウの子よね?」
「…あぁ、だったら何だよ」
「チームが違うこと、そのリスクは解って?」
「解ってる。でも雅も俺も、そんなことは二人の時に話したりしねぇよ」
「だけど…」
くるりと体の向きを変えた加賀はじっと今日子を見つめて話しだした。
「俺はこの季を最後にサイバーを去る。その時に雅が俺に付いてくるともどうとも解らねぇよ。その時に、別れて、アンリに付いたままかも知れねぇ。でも今は、俺は雅を大事にしたいし、あいつも同じ事を思ってくれてる。だから今は俺らの事、止めないでくれねぇかな」
「……ハァ、本当に決めたら何を言っても聞かないんだから。」
そう言えば今日子も腰を上げた。
「明日、夜予定を入れないで頂戴。」
「ぁ?」
「また時間が分かり次第、連絡するわ」
そう言って手帳を開いた今日子はそのまま加賀を見送った。続いて今日子も出れば、その足でまっすぐにスゴウのピットに入ってくる。
「忙しい時にごめんなさい?」
「え、あ…はい」
「オーナーさん、今みえて?」
「少々お待ち下さい…」
そうして雅は修のもとに向かい、今日この来訪を伝えた。