【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第1章 「香惑の宵**」
***
カーテンの隙間から差し込む陽射しが、
ゆっくりとまぶたの裏に届いた。
は、かすかに眉を寄せながら目を開ける。
窓の外には、すっかり昼の気配。
時計に目をやると、針は午後一時近くを指していた。
(……あれ、寝ちゃってた……?)
身体を起こそうとした瞬間、ふと違和感を覚える。
火照りも、熱も、あのとろけるような感覚も――もう、どこにもない。
けれど、全身にまとわりつくような倦怠感だけが、確かに残っていた。
そして、記憶が――断片的に、頭の奥から浮かび上がってくる。
彼の声、彼の熱。
名前を呼ぶ低い囁きと、自分の掠れた声。
『じゃあ……ここ、今どうなってるか教えて?』
『の口で、ちゃんと、えっちな名前で』
『……っ、や、やらしいこと……っ、さとるさんの、おちん……ちん……で……っ、奥……ぐちゅぐちゅって……』
「~~~~~っっ!!!」
顔を真っ赤にして、布団の中に潜り込む。
(ああもう、誰か記憶を消して……!)
そしてさらに、ひときわ甘く、切羽詰まった自身の声がよみがえる。
『もっと……トントン、して……奥、いっぱい……悟さんの、ので……っ』
布団の中で、目元まで隠しながら小さく震える。
確かに口にした。
快楽に流されて、恥じらいも理性も全部壊れて――
求めてしまった。
「……あんなの、私じゃない。き、きっと、夢で……」
ふと目に入る、ゴミ箱の中。
――丸められた、使用済みコンドーム。
(ゆ、夢じゃない!)
そのとき――
「あ、起きた?」
ガチャリと扉が開き、五条の涼しい声が部屋に満ちた。手にはスポーツドリンクのボトル。
どこかご機嫌そうに、それをのベッド脇の机に置くと、彼女の様子をちらりと眺めて、にっこりと笑う。
「……症状、落ち着いたみたいだね。よかったよかった。
うん、完全に僕のおかげだね」
その無邪気な言葉に――
潜っていたの頭が、音を立てるようにピクッと動いた。