第1章 「香惑の宵**」

「……奥、すごく感じてる。ほら、わかる？」


片手で彼女の腰を引き寄せながら、
もう一方の手が、彼女の胸元へ滑り込む。
汗ばんだ肌の上を這いながら、柔らかな膨らみをそっと揉みしだく。



「ふ、ぁっ……やっ……」



触れられるたびに、喉の奥から甘い声がこぼれてしまう。
押し殺そうとしても、腰が打ち込まれるたび、
快感が頭の奥を直撃する。



「……僕がどうしてるか、言ってごらん」

「え、っ……そ、んなの……いえ……な、」

「ふぅん……じゃあ、言いたくなるまで、イジめるよ」



そう言って、五条の動きが変わる。
突き上げる角度が、少しだけずらされ、
敏感な一点――中の奥、何かをかき混ぜるような場所を、
的確に、何度も、擦り上げてくる。



「――っっ、あっ、あ、ああっ……っ！」


膝が震え、手のひらがベッドシーツをぎゅっと掴む。
声を出すことすらもうコントロールできない。



「どうしたの？　ここ、そんなに気持ちよかった？」

「ちがっ……ちがうのにっ、そんな、あ……んんっ！」

「じゃあ……ここ、今どうなってるか教えて？
　の口で、ちゃんと、えっちな名前で」



その低く甘い声が、耳朶をかすめる。
同時に、五条の動きが深く、ゆっくりと沈む。


奥を擦るたび、痺れるような刺激が絶え間なく押し寄せる。
熱がせり上がってくるたび、身体の奥がくちゅくちゅと濡れた音を立て、羞恥と快感が溶け合っていく。


耳元で囁かれた声。
絶え間なく注ぎ込まれる熱と、腰奥を攫われるたび広がっていく快感。


そのふたつが絡み合い――


の中で、何かが、崩れた。



「……っ……や、やらしいこと……っ、さとるさんの、おちん……ちん……で……っ、奥……ぐちゅぐちゅって……されて……っ」



一瞬、五条の動きが止まった。
その言葉――普段のからは決して出てこないような、甘く、淫らな告白。


五条は唇の端をゆっくりと吊り上げ、背筋を這う快感とは別の衝動に、身体の奥がざわめいた。



「……あーあ、言っちゃった。
　、こんなやらしい子だったんだ？」

「ち、が……っ！　やだ、もう……！」

「でも……すっごく可愛い」