第1章 「香惑の宵**」

「ねぇ、もうイきたい？　それとも……まだ楽しむ？」



問いかけながら、指のリズムをわずかに緩める。
焦らすように、寸前で止める。



「あっ、や、だ……っ、やだ、イかせて……！」



喘ぐような声が、たまらなかった。



「よく言えたね。……ほら、ご褒美」



その瞬間――
五条の指がぐっと奥へ沈み、親指が突起を円を描くように擦り上げた。



「あっ……！　あ、あああっ……！」



の全身が弓なりに反り、
脚が痙攣するように震え――
絶頂が、波のように押し寄せていく。


五条は、すべてを見届けるように、優しく、けれど深く彼女を抱いた。


（……まだ足りない。　僕だけが知ってるを、もっと――）


絶頂の余韻に揺れるの身体を、
五条はそっと仰向けに寝かせた。
彼女は抵抗しない。されるがまま、体を預けている。


彼女の視線をとらえたまま、
五条はゆっくりと彼女の脚の間に入り込み、
その柔らかな太腿を両手で開いていく。



「ねえ、……まだ、熱おさまらないでしょ？」



わざと声を低く、耳元で囁く。



「どこに、どうしてほしいか……の口で教えて？」



指が、太腿の付け根から腰骨に沿って撫で上げる。
その動きが、彼女の息を再び乱れさせていく。



「……っ、そ、そんなの……」

「言えないの？　じゃあ、身体辛いままだよ」



唇が、彼女の胸元に触れる。
そっと吸い、舌で尖りをなぞる。



「ふ、んんっ……あ……」

「……ほら、もっと欲しいんでしょ？」



じらすように、腰を近づけながらも、触れはしない。
熱だけを伝えるように、わざと距離を保つ。



「。……僕を、どうしたい？」



優しい言い方なのに、逃げ場を与えない。
まるで、快楽の檻の中で言葉を吐くことしか許されないような――
そんな支配の温度。


は唇を噛み、顔を真っ赤に染めながら、
小さく震える声で、ようやく絞り出す。



「……悟さんの……ほしい、です……」

「どこに？」



答えたつもりだったのに、さらに低く、鋭く迫る声。



「……っ、なか……に……ください……」