【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
「おいおい……そのセリフはそんな軽く言っちゃダメでしょ」
「他にもっと考えることがある」
先生が眉をひそめて、五条さんの方を鋭く睨んだ。
(先生……)
(本当はちゃんと考えてくれてるんですね)
思わず胸をなでおろしかけた、その時――
「場所はどうすんの?ラブホは未成年入れないし、高専の寮は壁が薄い!」
思わず膝が、がくっと崩れそうになる。
「じゃあ、部屋に帳下ろす? 声、外に漏れないように」
「でも、人に聞こえちゃうかもっていうスリルもいいよね」
「それわかる。気持ちいいのに声我慢してるのとか、余計泣かせたくなる――」
「二人ともっ!!」
思わず声を上げて、私はぷるぷると肩を震わせた。
二人の顔が同時に“ん?”というふうに止まる。
「そんなくだらないこと考える前に、もっと大事なことがありますっ!」
なにこの会話。
どうして私は、こんな真顔で突っ込んでるの。
なんでこの二人は、同一人物のくせにタチの悪いコンビ芸みたいになってるの。
私は二人を睨みながら、
「戻る方法を探さなきゃです……!」
やっと絞り出したその言葉は、情けないほど裏返っていた。
でも、言わなきゃ二人の勢いに飲み込まれそうで――。
そんな私の必死さを、先生はふっと見下ろして、
「方法ならあるよ?」
先生がケロッとした声で言った。
「……え?」
間の抜けた声が、勝手に漏れた。
私の呆けた顔を見て、先生は得意げに笑う。
その隣では、五条さんが「さっすがオレ」とばかりに親指を立てていた。