【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
「好きになる時期が変われば、選ぶものも変わる。選んだ道が変われば、待ってる未来も当然変わるってこと」
すると、隣で腕を組んでいた五条さんがぽつりと呟いた。
「確かに……のこと好きじゃなかったら――さっき、ごと呪霊祓ってたわ」
「ええっ!? そ、そうなんですか!?」
私が思わず声を上げると、先生はふっと鼻を鳴らした。
「そういうこと。ほらね、未来が歪んでもおかしくないでしょ?」
そして、私の方へ視線を戻し、少し照れたように笑った。
「……まぁ、に出会っちゃったら、好きになっちゃうよね」
先生がそんなふうに笑うものだから、私はなにも言えなくなって。
(そんなこと……言われたら)
目を逸らそうとして、でもできなかった。
その笑顔が眩しくて、見てるだけで心がふわっとなる。
「……ここ、汚れてる」
先生がそっと、私の頰に触れた。
指先がかすかに触れただけなのに、皮膚がそこだけ熱を持ったように感じた。
「なんか、ほっとけないんだよな。お前って」
今度は五条さんが、いつの間にか私の頰を片手でぷにぷにしてきて。
その手はあったかくて、ちょっとくすぐったくて。
「ちょ、二人とも……やめてくださいっ」
言いかけた声が、情けないくらい震えていた。
顔が熱い。
視線を合わせられなくて、私は思わず目を伏せる。
「あー、もう……可愛すぎ」
先生が苦笑まじりに呟いた。
その声がやけに近い。
目隠しの奥の視線が、まっすぐ私を捕らえている気がして、呼吸が浅くなる。
「……キスしたい」
「はっ!?」
思わず声が裏返った。
その隣で、五条さんも口を開く。
「俺はエッチしたい」
「ちょ、ちょっと!? な、なに言って――!」
心臓が暴れるみたいに跳ねて、全身が熱くなる。
いやほんと、なんで!? なんでこの人たち今の状況わかってる!?
異常事態の真っ最中なんですけど!?