【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第1章 「香惑の宵**」
最初は、そっと――けれど、触れた瞬間、その優しさは炎に変わる。
唇が重なった刹那、抑えていた欲が、一気に溢れ出した。
彼の舌が、彼女の唇の隙間をなぞる。
くすぐるように、焦らすように。
そして、彼女がわずかに口を開いたのを感じた瞬間――
五条は迷いなく舌を滑り込ませた。
ぬるり、と。
湿度を帯びた感触が交わり、彼女の舌先に優しく触れる。
「……っ、ん……」
が小さく喉を鳴らす。
その吐息が、彼の頬をかすめた。
舌が絡まり、吸われ、溶け合っていく。
ただ触れるだけのキスでは、もう足りなかった。
唇の端を甘く吸われ、舌の裏をなぞられ、
まるで――彼の口づけだけで、全身を支配されていくようだった。
五条の指先が、彼女の腰に回り込む。
素肌をゆっくりと撫で、繊細に、けれど確かな熱で包み込んでいく。
「……んっ、ふ……ぁ……」
わずかに反り返る身体。
その柔らかな反応に、五条の喉奥で欲が疼く。
(もっと……欲しい)
唇を離した瞬間、つながっていた吐息が熱を帯びて揺れた。
唇の隙間から糸を引くような名残がふたりの距離に橋を架ける。
五条はそっと彼女の髪を撫で、耳元に唇を寄せた。
「……ねぇ、」
低く甘い声。
それだけで、肌がふるりと震える。
「どこ……触ってほしい?」
言いながら、自分でもわかっていた。
どこなんて、明白だ。
けれど、答えを“言葉で”引き出したい。
彼女の口から、自分を求める言葉を――聞きたい。
は小さく息を呑み、伏せたまつ毛がかすかに揺れた。
頬は火照り、唇はまだ潤んだまま。
「……そ、そんなの……言えない、です……」
かすれた声でそう言いながらも、の手がそっと五条の胸元を握る。
拒んではいない。
むしろ、焦らされて戸惑っているだけ。
「言わなきゃ、わかんないよ」
五条の声は、まるで心の奥に直接触れてくるようだった。
そして――彼はもう一度、ゆっくりと彼女の手を取った。