第13章 ・探究
そんな彼等を見た店主は、豪快に笑った。
「はっはっは……そう言う事だ。因みに、パームミュートってのは掌で音を消すテクニックの事だ。奴はそれを親指の付け根でやってた……って事だ。それが奴のテクニックの一つだったんだよ」
「……なんか良く判んねえけど、凄えギタリストだったんだな……」
「そりゃ勿論、昨今のメタルシーンに影響を与えたギタリストだからな。奴のテクニックは真似出来るもんじゃねえが、スタイルはクールだから……兄ちゃんには、教えておいた方がいいと思ってな」
そう言って笑う店主に応える様に、ゾロは憧れのギタリストを真似てブリッジに右手の付け根を置かず、浮かせる様にして前腕全体を使い、何度か弾き始めた。
しかしやはり独特な演奏技術……ゾロは思わず苦笑する。
「やっぱりあのギタリスト……凄えな。腱鞘炎になっちまいそうだ」
「Brother、手首……でなくて、腕がぶっ壊れたら元も子もねえから、それ位にしとけよ。覚えとくだけでいいんだからよ」
ロキの助言に、ゾロは笑って頷いた。
先程店主が言った通り、六弦の解放弦を弾き、アームを押し込んでみる。
勿論、アーミングは初心者がすぐに出来るテクニックではない。
ゾロは何度も失敗し、その後……乱れた呼吸を整える為、一つ大きく息を吐いてから六弦を弾いた。
瞬間、迷いなくアームを一気にぐっと押し込んだ。
その時。
……グオォォォォォォォン……!
憧れのギタリストがステージで響かせていた音に近い……アンプから飛び出して来たのは、猛獣の咆哮の様に、低く唸る音だった。
弦の張力が一瞬失われ、再び戻る。
ゾロは忘れずにアームを動かし、戻した。
掌に音の衝撃が残る。
「……音が凄え下がった……!ムチャクチャ面白れえじゃねえか!!」
ゾロの瞳が眩しく輝く。
彼の表情を目にした店主は、ニヤリと笑って頷いた。
「……だろう?このケーラーは押し込むだけでなく、アームを引っ張り上げて音程を上げる事も、他のユニットに比べて凄くスムーズに出来るんだ。だが……まずはしっかりとした基礎……コードとリズムを叩き込んでから、こいつを使った方がいい。こいつを使いこなせる様になった時、あんたはただのギタリストじゃなく、本物の『音の剣士』になってる筈だ」