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魔王之死刀

第13章 ・探究


「ケーラーは、アームタッチが凄く軽いんだよ。兄ちゃんお気に入りのギタリストは、ピックを持ったまま、こいつを中指、薬指、小指の三本……そして掌全体でアームの先端をしっかりと握り込むスタイルで演ってたんだ。奴の使い方はカオスで凶悪……ビブラートは勿論、急激なアームアップ、そして一気に音を急降下させる『ダイブボム』って奏法を良く使ってたな」

 店主の話に聞き入っているゾロの目は、好奇心で一杯の少年の目の様に……剣の師である、コウシロウの話を真剣に聞いていた、あの時と同じ輝きを放っていた。

「流石にピンチハーモニクスは難しいから、今回は六弦のゼロで演ってみようか。六弦を長く鳴らして、こいつを一気に押し込んでみな」

​ 店主に詳しいやり方を教わり、促されるまま、ギターを構え直す。
 
「弾く前後に、一度アームを軽く動かして戻すって癖を付けるんだ。ケーラーは音程が狂い難いだけで、絶対狂わない、と言う訳ではいからな。そこで、ギターのメンテナンスが更に大事になって来る。その上でアームを軽く二、三度動かす事で、快適に弾ける様になるんだ。あのギタリストもやってた『儀式』みたいなもんだから、癖は付けておくといいよ」

 ゾロは大きく頷いてから、ブリッジに右手の付け根を乗せ過ぎない様に注意しつつ、六弦を弾こうとしたその時、店主が声を掛けた。

「そうだ、一つ、教えてやる。兄ちゃん憧れのギタリストは右掌の付け根がブリッジに置かれていない、奇妙なテクニックを使って弾いていたんだよ。そんで、パームミュートでなく、親指の付け根あたりの肉の厚い部分でミュートしていたらしい。右手全体を浮かせ気味にして、ブリッジに固定しないスタイルで弾いてたそうだ」

 聞いたゾロは眉を顰め、店主に訊いた。

「右手全体を浮かせて……?一体どんな弾き方してたんだよ」

「前腕全体を使って大きく振る様にピッキングしてたんだよ。これが奴の高速ダウンピッキングやトレモロピッキングの原動力になってたのさ」
 
「前腕全体を?そうか……ロキに『真似したら手首ぶっ壊れる』って言われたんだが、手首じゃなくて腕そのものがぶっ壊れる……って事だったのか」

 ゾロは思わずロキの顔に目を遣った。
 ロキはあのギタリストの弾き方を勘違いしていたのだろう。
 彼は腕組みしながら、苦笑するだけだった。
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