第13章 ・探究
この時、店主はゾロに、ギター本体での音の変え方、アンプの使い方や、そのコントロールの意味を教えた。
「……そうそう、アンプはブランドによってコントロールの呼び方が違うんだ。因みに、兄ちゃん憧れのギタリストは『Marshall JCM800 2203』って奴を使っていた……今も生産されているシロモノだ。まあ、純粋に代替え品を選ぶなら、JCM800 Modifiedをお勧めするかな。特にハイゲインが荒々しく、ダウンチューニングもしっかりしていてな。そのアンプだけで、今のメタルシーンに欠かせない音作りが出来る。価格は三十万前後だが……メタルやりたくてMarshallを選ぶなら、それが無難だと思うぞ」
店主の話に耳を傾けつつ、ゾロは頷いた。
アンプのコントロールは余り変えずにクリーンな音のまま。
膝の上にギターを乗せ、ゆっくりと構えた。
不慣れな手付きで、弦を一度弾いてみる。
思った以上に、音が澄んでいた。
鋭く真っ直ぐに伸びる音が、店内に響く。
「おお、流石……クリーンもいい音するな。やっぱりこのモデルは鳴りが違う。こいつは弦と弦の間……サドルピッチも変えられるから、弾き難かったら遠慮なく言ってくれ」
「ああ、ありがとう」
ゾロは微笑みつつ、素直に礼を言った。
店主は嬉しそうに頷き、話を続ける。
「ケーラートレモロは独特でな、弦の張りが滑らかだ。クセのある奴だが一度慣れると、他のブリッジじゃ物足りなくなる」
ゾロは頷きつつ息を整え、もう一度、今度は低音……六弦を弾く。
低く震えた弦の響きが指先から腕へ、そして腹の奥へ、重く染み込んで行く。
思わず口端を上げるゾロに、店主は満面の笑みを浮かべた。
「やっぱり、あんた筋がいいな。手はデカいし、指も長い……しかも太いなりに、ちゃんと指先で弾けてる……指が太いと音をミュートする時に便利だし、練習次第で高度なテクニックも使える様になるぞ」
ゾロは話を聞きつつ、弾く事を止めなかった。
剣の修業と同じ様に、集中する。
感心しきりの店主は彼の練習を妨げない様に、静かに話を続けた。
「それからな……こいつには、こう言うモノも付いてるんだ」
店主はそう言うと、店の奥から専用のバッグパックタイプの黒いハードケースを持って来た。