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魔王之死刀

第13章 ・探究


「保湿……良く女が顔に化粧水とか付けてる……アレと同じ様なもんか?」

 ゾロの例えに、店主は思わず笑った。

「はっはっは!兄ちゃん、なかなか言うねえ。まあ、そんな様なもんだな。それから、ケーラーのローラーサドルは精密だ。錆び付かない様に、二カ月に一回位、ギター専用の潤滑剤を適量差してやれよ」

 そう言いつつ、弦交換は三十分程で終了した。
 店主から整備やチューニング方法も詳しく教わった。

「それから、ギターは室内や外気の温度、湿度が少し変わるだけで音が狂っちまう。保管する時は特に……乾燥し過ぎるとボディにヒビが入ったりネックが反っちまったりするんだ。湿度が高過ぎても駄目だぞ。ギターケースに入れて保管するなら、中にギター専用の湿度調整剤を入れておくといい。室温は大体二十度から二十五度、湿度は四十から五十五ってところだな」

 それ迄店主の話を黙して聞いていたゾロは、右手で顎を触りつつ思わず唸った。

「……ギターって、刀と同じだな。凄え繊細で……それでいて、思ってた以上に……奥が深けえ」

「始めたばかりでその言葉が出るとは、大した観察力だ。どうする?こいつ、持ってくかい?」

 ゾロが少々心苦しそうにロキの顔を見ると、彼は笑って頷いた。
 そんなロキに背中を押される様にゾロは頷き、答える。

「ああ……こいつは、おれの新しい『刀』だ」

「はっはっは……!やっぱり、気に入ったか。一本目にしちゃあ最高の選択だぞ。こいつを持った時は戦場じゃなく、ステージで暴れてくれよ?」

「……勿論。その積もりだ」

「まあ、ケーラーの整備は難しいからな、調子悪いと思ったら何時でも持って来いよ」

「ああ、そうするよ」

 微笑むゾロの肩を、ロキが後ろから叩いた。

「いいギターが見付かって良かっな、Brother」

「ああ……いいギター……最高のギターに出会えて、本当良かったぜ」

 ゾロはESPの洗練されたギターのボディから、暫く目を離す事が出来なかった。

「せっかくだ。持ってく前に、ちょっと弾いてみるといい」

 店主に言われるまま、ゾロは刀を腰から外し、カウンター横にある作業台の上に置いた。
 そして、アンプの音量とギターの音量がゼロになっている事を確認して、ケーブルを繋げる。
 電源を入れて音量を上げた。
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