第13章 ・探究
指板にはバンドロゴであるイーグルのインレイが十二フレット迄……所謂、ポジションインレイが填め込まれ、黒のボディに白いデカールのロゴが沢山施されている。
昨夜観た、モニターの中のライブ映像がゾロの脳裏に鮮明に蘇る。
ブロンドの長髪が印象的なギタリストの、あのギター。
価格はこの国の通貨で、九十九万円。
だが、何と言うグッドタイミングであろうか。
開店五十周年記念で、七十二万円と言う出血大サービス価格になっていたのだ。
ルシファーから餞別として貰った金は百万円。
だがしかし……昨日、銃を三丁購入し値引きして貰ったとは言え、残りの金は七十万円に満たない。
ゾロは頭を右手で搔きつつ、ギターに近付いた。
「……これだ、間違いねえ」
目線より少し高い所に飾られている、ゾロの憧れのギター。
彼は息を飲みつつ、それを見詰めた。
彼の視線の先を追ったロキは一瞬目を丸くする。
そして、思わず口端を上げた。
「Hey, Brother……昨日銃で使っちまったから……金足りねえんだろ?」
「……あ、ああ……まさかこの店にあるとはな……」
ロキの言葉に苦笑しながら、ゾロは小声で呟く様に答えた。
「心配すんなBrother、おれが立て替えておいてやるよ」
ロキはそう言って、チェーン付きの財布から、一枚のカードを取り出した。
それは黒地に金色の文字が光る、魔神族も憧れる『プレミアムロイヤルカード』だった。
「こっちの世界には『クレジットカード』って言う、便利なモノがあるんだ」
「クレジットカード?」
「そう……この国じゃ『クレカ』とも言われてるな。これがあれば、高価な買い物が簡単に出来るのさ。支払いは何回払いとか、まあ色々あって……使える枠は収入に合わせて、だけどな。しかし使い過ぎは禁物……ご利用は計画的に、って奴だ」
ロキは笑ってウインクすると、今度は店主に声を掛ける。
「マスター、Brotherが見たいギターがあるって……」
「いやロキ、お前にそんな迷惑は掛けられねえ……自分で買えるギターにするからよ」
ゾロはそう言いロキの言葉を遮るが、彼は首を横に振り真顔で返す。
「何言ってんだ、あのギターは二度と手に入らねえかも知れねえ……今は生産されてねえ、貴重なシロモノ。今買わなきゃ、絶対後悔するぞ」