第13章 ・探究
「絶対あるさ!色男さんにぴったりのイカしたギターがよお」
「……お前なあ」
ゾロは小さな溜息を一つ吐いた。
ロキの大きな笑い声がエレベーターの中で響く。
部屋に戻り、荷物を手にしてフロントへ。
チェックアウトを済ませて、外へ出た。
午前十時過ぎ……人混みの中を行きロキに案内されたのは、シンジュク周辺の街角にある、小さなギター専門店。
扉を開けると、店の奥から威勢の良い男の声が彼等の耳に届いた。
「いらっしゃいませえ!おっ、ロキさんじゃねえか、久し振りだねえ」
現れたのは、ウェーブの掛かったロングヘアを後ろで束ねた中年の男。
左腕には、メタルバンドのロゴのタトゥーが一つ、彫られていた。
「おう、マスター!元気そうで何よりだ。今日は新しいBrotherを連れて来たぜ」
ロキはゾロを軽く紹介しつつ笑顔で店主に近付き、雑談を始めた。
店内にはギターリフの効いたロックが流れ、壁一面には様々なギターがずらりと並んでいる。
「へえ……こいつは驚きだ……」
ゾロが感心しつつ呟くと、ロキがその背後から声を掛けた。
「だろ?ここはこの辺じゃ有名な老舗の『ギター専門店』……二代目店主は先代以上にギターの目利きが良くてね。Niceな『音の剣』が沢山揃ってるんだぜ」
「おいおい、ロキさん……そんな持ち上げても、お安くは出来ないからね」
冗談半分にそう言う店主は、店内を見回すゾロの立派な体躯に目を見張る。
腰に帯刀している三振りの刀が視界に入ると、納得した様に頷いた。
「兄ちゃん、初めてのギター探しかい?……目付きが鋭いねえ、流石は剣士さん。背筋がビシっとしてる。刀もいいけど、ギターも似合うぞ」
「……あ?そうか?」
「流石に立ち方がサマになってる。ガタイもいいしなあ。ギター持ったら、更にカッコ良くなるぞ」
「ハハハッ!マスターもそう思うだろ?Brother、聞いただろ?やっぱりお前はギタリスト向きなんだよ」
「な、何言ってやがる……おれは普通だ」
茶化すロキを横目で見ながら、ゾロはそう言って苦笑した。
何気なく店の奥に視線を移したその時、壁に掛かっている一本のギターに目が止まる。
彼は思わず、目を見張った。
(あのギター……まさかだろ……)