第13章 ・探究
「……そうか?いや、それにしちゃあ……何か、女のイイー匂いが漂ってる気がするんだがなあ……おれの気のせいかなあ……色男さんよお?また人生相談にでも乗って、ヤったのか?」
「……そんなのいねえって……今支度するから、そこで待ってろ」
女に関して、ロキは恐らくサンジと一、二を争う程の嗅覚の持ち主なのだろう。
ゾロは心なし落ち着きなく答えると、部屋の奥に行き手早く身支度を整える。
そして、ソファーの後ろに立て掛けてある三振りの刀を右腰に帯刀した。
やはり剣豪……その目に何時もの鋭さが戻る。
「九時か……行くぞ」
「おう。次から起きる時は、ちゃんとアラーム使えよ」
「……判ってる……」
ぶっきらぼうに返事をするゾロに、ロキは笑いながら付いて行く。
エレベーターに乗り込み一階へ。
静かなレストランの、日の光が差し込む窓際の席に着く。
そこから、ゾロは何気なく外を眺めた。
「相変わらず朝から人が多いな、この街は……」
ロキは口に入っているパンをコーヒーで流し込むと、落ち着いた口調で答える。
「それが大都市の特徴の一つだよ……しかしBrother、やっと眠気が吹っ飛んだみてえだな」
「……もうとっくに眠気は吹っ飛んでる」
眉間に皺を寄せるゾロに、ロキは笑った。
「冗談だよ……でも、何をぼんやりしてたんだ?」
「……ああ、ちょっとな」
「ちょっと?何だよ」
「……ギターの他に、サッカーのユニフォーム、買いに行きてえんだ」
ロキは少し驚いて、相棒の顔を見る。
「サッカーのユニフォーム?何でそんなもん……」
「昨日、テレビでやってたんだよ、サッカーの代表戦……南米って所にある国だ。背番号と選手の名前は覚えてる。凄え目付きの鋭い奴で、ちょっと気に入ってな。そいつのユニフォーム、買おうと思ってよ……」
そこ迄言うと、ゾロはコーヒーを一口飲み、視線をまた窓の外へ移した。
ロキは一瞬呆気に取られた顔をしたが、すぐに笑顔を見せた。
「Brother……やっぱりお前、トウキョウになんか変えられたなあ」
「……そうかもな」
ゾロも口端を上げて、静かに答えた。
その後、彼等は食事を終えると、部屋へ荷物を取りにエレベーターに乗り込んだ。
……と、ゾロがポツリと呟いた。
「いいギター……あるかな」