第13章 ・探究
朝……時計の針が、八時半を過ぎた頃。
六階のホテルの廊下。
そこにロキの姿があった。
彼の前を、レストランやフロントに向かう数人の客が通り過ぎる。
彼は腕時計に視線を移すと、溜息を一つ吐いた。
「おいおい……まさかの寝坊かよ……」
ゾロの部屋の前に立ち、一度、二度ドアを叩いたが……返事はない。
三度目のノックで、部屋の奥から寝ぼけた声が返って来た。
「……誰だ」
「おれだよ、ロキだ。約束の時間、もう過ぎてんだけど?」
突然ドアの向こうから何かが転げ落ち、部屋を走る様な音が響く。
その後、静まり返った。
ロキは腕組みをしつつ、その指先でリズムを取りながら、気長に相棒を待つ。
そして数分後……ガチャリと音を立てて、ドアがゆっくりと開くと……そこに、ゾロが立っていた。
しかも、パンツ一枚の姿で。
眠そうな顔をしながら、バスタオルで濡れた頭を適当に拭いている。
ロキは呆れて彼に言う。
「……Brother……お前、慌てて起きただろ」
「……起きてたよ……今シャワー浴びてた……」
「嘘付け。その割には、目が開いてねえぞ」
ロキの言葉に、ゾロは面倒そうに眉間に皺を作り、無言で目を擦る。
その何とも間の抜けた姿に、ロキは思わず噴き出した。
ゾロはバツの悪そうな顔をして、小声で返す。
「悪りぃ……寝坊した……」
「おれは別に怒っちゃいねえよ。ただ、お前が遅れるなんて、思ってなかったからよ」
「……昨日は……ちょっと疲れて何時の間にか寝ちまってよ……」
「……そんな事言ってよお……実は、女でも連れ込んでたんじゃねえのか?」
何かを見透かしたのか、冗談混じりで言うロキ。
ゾロの体が一瞬固まった。
一夜を共にしたリリムの姿が彼の脳裏に蘇る。
(……まさか『あの声』が聞こえちまった訳じゃねえよな……リリムが部屋に勝手に来た……なんて口が裂けても言えねえ……)
女好きのロキの事だ。
ゾロはこの件に関しては、あくまでも否定し続ける事にした。
「あ、あぁ?……んな女……いる訳ねえだろ……」
だがしかし、その口調はやはり何処かぎこちない。
ロキは横目でゾロを見る。