第11章 ・東京
キャスト達は、ただの『励まし』ではない、命を懸けて道を切り拓いて来た男の言葉に、真剣に耳を傾けていた。
ゾロは水割りを一口飲み、また言葉を続ける。
「おれみてえに、命を賭ける必要はねえんだ。気楽に頑張れ」
「はい……ありがとうございます。私、頑張ります!」
彼女の明るい返事に、ゾロは目を伏せ微笑み、また酒を口にした。
そしてニヤリと笑い、グラスを掲げる。
「お前等も飲めよ。ロキが戻って来る前に、ボトル空にしてやろうぜ」
ロキが戻って来たのはその数分後。
席に着いたロキは、シャンパンやウイスキーボトルが空になっている事に気が付いた。
代わりに新しいウイスキーボトルや高級ワインが、テーブルに何気なく置いてある。
「あー!!お前……何を独りで飲んでんだよ!!もう空じゃねえか!!ってかワイン迄飲んだのかよっ!!!」
「……おれだけじゃねえ、みんなで飲んだんだ……ああ、それから……一番高えボトルを『お前の名前』で入れといてやったからよ、安心しろ」
聞いたロキは、絶叫した。
「は、はあ!?な、何だって!? お前、何時の間にみんなと仲良くなってんだよ!!しかも勝手に高級ボトル入れてるとか……!!」
「別に仲良くなってねえ。ただ、喋ってただけだ。それに……こう言う店は、ボトル入れるもんなんだろ?」
ゾロは不敵な笑みを浮かべつつ、飲み干したばかりのグラスを置いた。
その堂々とした振る舞いは、常連客の連れ……と言うより、戦利品を分け合う王の様に見えた。
ロキはぽかんと口を開け、言葉を失ったままゾロを見詰めている。
笑い声とグラスに氷がぶつかる音が心地良いハーモニーとなって、その場を更に盛り上げている。
ロキは居た堪れなくなり、突然大声を上げた。
「よ、よし、次行くぞ!!ここはお前には合わねえ!!!」
顔を真っ赤にしたロキに腕を引かれ、ゾロは苦笑しながら立ち上がる。
「ええー、ロキさん、もう帰っちゃうんですか?」
「ゾロさんと楽しくお喋りしてる途中だったのにい……」
女の子達の声を無視するかの様に、ロキはゾロの顔を見た。
「お前……おれが居ない間に、どんな話してたんだよっ!!」
「どんなって……毎日どんなトレーニングしてんだとか、好きな酒は何だとか……そんな話だぞ」
ゾロは、呆れた様にそう答えた。