第11章 ・東京
死皇帝ゾロの持つ、闇の中に輝く強き『光』。
その光は、人気ロックスターである筈の彼の虚飾を、剥ぎ取って行く様だった。
ロキは小さく溜息を吐き、足早にメンズルームへと向かう。
一方、残されたゾロは、無言で水割りを飲み続けていた。
しかし酒を飲むその顔は、やはり嬉しそう……いや、嬉しいのだ。
青い髪のキャストは水割りを作りながら、静かに訊いた。
「あの、ゾロさんって……お酒、お好きなんですか?」
「ああ……おれは酒は好きだが……なんで、そんな事訊く?」
「いえ、とても嬉しそうに飲んでらっしゃるから」
「……そうか?まあ、いい酒を飲んでる時は……確かに、嬉しいな……」
ゾロは少し照れた様に、思わず微笑んだ。
無愛想で口数は少ないが、瞳の奥には確かな強さがある。
女の子達の視線は、相変わらずゾロに釘付けだった。
青い髪のキャストは、ゾロの横に置かれている三振りの刀が気になっていた。
緊張しつつ、そっと訊ねる。
「あの……ゾロさんは、剣の稽古をされてるんですか?」
「ああ、ガキの頃からな。毎日何かしらのトレーニングは欠かさねえ。大剣豪になるのが、おれの目標だからな」
「大剣豪ですか……凄いですね。小さい頃から、ずっと……目標、かあ……」
彼女は視線を落とし、ふうっ、と小さく息を吐いた。
ゾロは横目で彼女を見て、その思念を感じ取る。
目を伏せつつ、小声で呟く様に訊いた。
「……なんかやりてえ事、あんのか?」
「……えっ?あ、はい……」
ゾロの顔を一瞥した後、彼女は俯き黙ってしまった。
彼は水割りを口にして、一息吐いてから、静かな口調で言った。
「余計な事かも知れねえが……夢は見てるだけじゃ、夢で終わっちまうぞ」
「えっ?」
「……本当にやりてえ事があるなら、それに向かって進んだ方がいいぜ」
ゾロの声は低く、しかし驚く程、静かで澄んでいた。
「……はい。でも、私も出来るかどうかって、何時も不安になっちゃって……」
「出来るかどうかなんて考えてる暇があんなら、まずはやってみろ……大事なのは、自分を信じて、やるべき事を毎日地道に続ける事だ。そうすりゃ、気付いた時には、目標に辿り着いてる」
グラスを傾けるその逞しい腕には、幾千、幾万回の素振りやトレーニングで刻まれた、確かな『力』が宿っている。