第11章 ・東京
トウキョウは昼も夜も変わらず、活気に溢れている。
ロキは一瞬躊躇ったが、とある場所にスマホで連絡を入れた。
相手は男、野太い声がゾロの耳に微かに届く。
「……承知致しました。二名様でございますね。お連れ様にもご満足頂ける様、万全を期してお待ちしております」
通話を切ったロキは、首を傾げるゾロの肩に手を置くと『ロッポンギ』と呼ばれる場所迄、一瞬で飛んだ。
その場所に到着するなり、ゾロは険しい表情を見せた。
ロキはそんな彼を半ば強引に連れ、黄金の装飾が施された重厚なダブルドアの前に立つ。
黒服が丁寧に挨拶をし、その扉を開くと……。
そこは、音楽と香水の匂いが渦を巻く世界。
天井から降り注ぐ美しいクリスタルシャンデリアの光が、ゾロの目を細める。
黒の内装に、金の装飾と鏡面仕上げの壁が、シャンデリアの光を反射させていた。
人間も魔神族も関係なく、酒と会話に興じる人々で賑わう場所。
ロキの行き付けの店……高級キャバレークラブだ。
「いらっしゃいませ!」
可愛らしく、美しい佳人達が笑顔で客を迎える。
煌びやかなドレスを纏った夜の華達。
並の男なら、その華やかな姿に釘付けになるのだろう。
だがゾロは、彼女達に一瞬視線を向けただけで、すぐに逸らした。
刀を外し、黒服に通された席に無言で腰を下ろす。
「ロキさん、久し振りねー。全然来てくれないから寂しかったんだから」
「悪りぃ悪りぃ。バンド活動が忙しくてよ」
「そんな事言って、他の子と遊んでたんでしょ?もう、酷いんだから」
「そんな事ねえよ。何時だって君達が一番さ。今日は久し振りに来たから、派手にやろうぜ!まずは……おれのボトルと、高級シャンパン、持って来て!」
ロキはそんな軽口を叩きながら、ゾロの左隣に座った
早速シャンパンが届き、皆で乾杯した。
ロキは楽しくキャスト達と話している。
が……ゾロは、シャンパンを一気に飲み干し、刀を挟んで右隣に座ったキャストに水割りを頼んだだけで、その後は黙ったまま。
ロキはそんな態度のゾロが、どうにも気になって仕方ない。
「おいおい、せっかく可愛い子が話してくれてんのによ。そんな仏頂面すんなって!」
茶化しても、ゾロは表情を変えない。
そのやり取りに、キャスト達はクスクスと笑った。