第11章 ・東京
ロキは半ば呆れ顔で笑いつつ、ゾロの肩を叩く。
「おいおい……初めてでゲームクリア……しかもハイスコアとか、マジで反則じゃねえか!楽しむ前に極めてどうすんだよ」
「いや、おれは楽しかったぜ」
ゾロは鋭い目付きのまま、ニヤリと笑い、言葉を続ける。
「悪くねえゲームだ。本物の銃じゃねえし……本物の血も出ねえけどよ」
ロキはその言葉に呆れ、そして思わず噴き出した。
「……まあ、そうだろな。撃ってる時の、お前の楽しそうに笑ってる顔、結構イケてたぜ」
「イケてた……か?恐らくおれが戦ってる時は、さっきみてえな顔してると思うぜ」
ゾロは苦笑しつつ、遠くの光へ視線を向ける。
店内に広がる、音と光。
こんな『無駄』な時間を過ごしたのは、何時以来だろう。
ゾロは、嘗て乗っていた船……ゴーイング・メリー号と、今乗っているサウザンド・サニー号での日々を思い出す。
トレーニングに励む時間もあれば、甲板の片隅で昼寝をしたり、一晩中、独り酒を飲みながら船番をしたり、そうかと思えば、仲間達と馬鹿をやって騒いだり。
無駄な時間も悪くないと思えたのは、久し振りの事だった。
(……いや、そんな時間こそ、大事なのかも知れねえな)
ゾロは目を閉じ、ふっ、と微笑んだ。
ロキは笑って、そんなゾロの肩を叩く。
「よし、Brother、次はこっちだ!!『クレーンゲーム』って……知ってるか?」
「いや、聞いた事もねえなあ」
「まあ、そうだろうな……あのアームで景品を掴むんだ。単純だけど、地味にハマるぜ」
ロキが指差した先には、光り輝くショーケース。
その中には、ぬいぐるみやアクセサリー、缶バッジ等の景品が並べられている。
レバーとボタンの横には操作方法が書かれてあり、ゾロはそれを確認した。
そして、無言でガラス越しに中を覗き込むと、一番奥の景品に目を留める。
黒色と銀色に彩られた、小さな刀のキーホルダー。
「……あれだ」
「え?どれだ?」
「一番奥の奴……うし、取るぞ」
ロキは一瞬呆気に取られたが、すぐにニヤリと笑った。
「お前、こう言うのにも、真剣になるタイプだろ?いいねえ……見せて貰おうか、剣豪さんのクレーンゲームの腕とやらを」
ゾロは無言でコインを入れ、アームのレバーに手を掛けた。
剣の柄を握る時の様に、指の動きに迷いがない。