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魔王之死刀

第11章 ・東京


「戦いが趣味か……世の中には居るのかも知れねえが……おれぁ、そんな風に思った事はねえなあ」

 ゾロの声は低く、その目は遠くを見ている様だった。

「戦いってのは、命を賭けるって事だ……遊びじゃねえ。勝った奴が生き、負けた奴は死ぬ……それが戦いだ」

 ロキは一瞬黙り込み、そして口端を上げる。

「……なるほど、確かにそうだな。まあ、今日はせっかくトウキョウ観光に来たんだ、楽しまないと損だぜ」

 そう言って、ロキはコインを一枚渡す。
 ゾロはそれを受け取ると、じっと見詰めた。
 軽い。
 命の重みの欠片もない。
 だが、それが悪いとは思わなかった。
 ロキは二丁ある銃型のコントローラーを抜き取り、ゾロに一方を差し出す。

「よし、ゲームスタートだ!!撃ち捲れ、ゾロ!!!」

「おう……あ、あぁ?」

 ゾロは受け取った銃を手にすると、それをまじまじと見詰めた。
 軽い。
 引き金の感触も弱い。
 本物の拳銃を撃ったばかりのゾロは、その違和感に、一瞬気を取られた。
 だが、画面の中では無数のゾンビが迫って来る。
 ゾンビの叫び声、爆発音、鳴り止まぬ銃声。
 そんな映像が目の前で繰り広げられる中、ゾロは素朴な疑問をポツリと呟いた。

「……ゾンビってよ、死んでんのに、なんで動くんだろな……良く判んねえ奴等だよな」

「そんな呑気な事言ってる場合か!!ほら、構えろ、撃て撃てっ!!!」

 ロキの声に押され、ゾロは照準を合わせる。
 赤い点が敵の頭に重なったその一瞬、バン、と銃声が響いた。
 画面のゾンビが吹き飛んだ瞬間、思わず口端を上げた。
 腕の筋肉が反射的に動く。
 それは剣を振るう時と同様、正確で無駄のない動きだった。

「おおっ、初めてでそれかよ!流石は剣豪、狙いがブレてねえ!!」

「やっぱりニセモノの銃だな……軽過ぎて、逆にやりづれえ」

 ゾロはブツブツと文句を言いつつ、次々と敵を撃って行く。
 リロードのタイミングも早く、撃ち漏らしも殆どない。
 ゲームの得点表示がどんどん上がり、周囲の客達が思わず足を止めた。
 やはり戦う事が好きなのだろう。 
 ゾロは笑いながら撃っていた。
 しかし……その目は殺気立ち、決して笑ってはいなかった。
 やがて画面に『STAGE CLEAR』の文字が表示され、勝利を知らせるBGMが鳴り響いた。
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