第9章 雄英体育祭
デクside
の攻撃をギリギリで防ぎきったデクは、腕を痛めつつも一歩後退した。
緑(速いだけじゃない…あの滑り、地形、すべてが“計算されてる”……)
風が抜けたような空白の一瞬に、デクの中で、分析が走った。
緑(これまでの動き…目線、軌道、罠の位置……繋原さんの攻撃は、すべて計画的だ。ってことは、見抜ければ……!)
リングの床には微細な傷と隆起の痕。
その配列に気づいたデクは、額に汗を浮かべながら身構える。
緑(見えた…さっきの足場崩しと滑り込み、その“直線の間”に安全地帯が……!)
ほんの一瞬、の足が止まった。
そしてもう一度流れるように動き出す。
再び分子をばらし、霧のように滑り込もうとした、その時。
緑「“見えた”!!」
指先に力を集中し――
緑「ワン・フォー・オール……デラウェア…スマァァァッシュ!!」
バシュッッ!!
空気が爆ぜた。
雷鳴のような衝撃とともに、放たれた一点集中の空気弾が、の足元すれすれを撃ち抜いた。
「……っ!」
跳ね上がる破片と風圧に、の姿勢が乱れる。
初めての“計算外”。
緑(狙いは当てることじゃない、“乱す”ことだ…!)
そのスキを見逃さず、デクが踏み込んだ。
緑「こっちからも仕掛ける!!」
拳ではなく、掌底。
相手を“落とす”のが目的だ。致命打はいらない。
もすぐに反応する。床を操作しようとしたその時――
相(……間に合うか!?)
だが、すぐに体勢を立て直したが、膝を使ってバックスライドする。
床がスッと滑らせるように後退し、攻撃をかわす。
マ「おおっとぉ!デクの風圧スマッシュが戦況を一変させたぁぁ!!さすがの繋原選手も体勢を崩したぁ!……が!……踏みとどまる!!まだ分からないぞこれは!!」
観客1「やばい…!今の見た!?」
観客2「風圧だけであそこまで!?」
観客3「あのラッキーボーイも本気だぞ!!」
(今の…緑谷くん、私の配置読んで撃った……!?)
目が合った。
そこには、怯えも焦りもなかった。
緑「繋原さん……こっからが本番だよ!」
「……」
は黙ってうっすらと笑った。