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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


「……っ」



その仕草だけは、のものに見えた。
キスのあと、甘えるように僕の首に腕を回してくる時の手つき。


の手が僕の背中からするりと離れて、ベッド脇のテーブルへ伸びて。
彼女はそこに置いてあったボールペンを掴み、迷いなく僕の喉元へ突き立てようとした。

その手首を寸前で掴む。



「こっちは今、といいところなんだから」



折れそうなほど細い手首に力を込めると、その手からボールペンがカツンと床に落ちる。



「邪魔しないでよ――――悠蓮」



その名を呼ぶと、の顔で悠蓮が妖艶に笑った。
唇の端だけをゆっくり吊り上げる。



『……覚えていたのか』

「そりゃあね。僕のご先祖さまが、ずいぶんお世話になったみたいだから」

『ふふ……あの男の血は、まだ残っていたか』

「昔話はいいよ」



同じ顔なのに。
同じ声なのに。
僕の知らない女が僕を見ている。
それだけで、どうしようもなく気分が悪い。



「それより」



押さえつけた手首に、さらに力を込めた。
悠蓮の笑みが、わずかに歪む。



「返せ。を僕に返せ」

『返す?』



悠蓮が冷たく目を細める。



『相変わらず、その眼は何も見えていないのだな』

「へえ。の口で、僕に喧嘩売るんだ」

『あの子は、もう運命を受け入れた』

「運命?」



どいつもこいつも。
因果だの運命だの、僕は信じてないんだよ。



「僕と幸せに暮らす運命、とか?」

『愚かな男だ。お前にあの子は救えない』

「……もういい」



の声で。
の唇で。
それ以上、僕に喋るな。



「黙れよ」



言い終えるより先に、僕はその唇を塞いだ。
悠蓮が抵抗するが、手首をベッドに縫い付ける。

とキスしているはずなのに、そこにいるのはじゃない。
あ……これ、浮気にならないよね。
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