第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」
「……ッ、あ……ぁ、あぁッ……!!」
奥へ届かせるたびに、翠色に濁っていた瞳が薄くなっていく。
の中で荒れていたものが少しずつ静まっていくのを感じて、僕はようやく息を吐いた。
余韻を感じながら、ゆっくりと腰を引いて身体を離すと。
繋がっていた場所から、とろりと白濁した液体が零れ落ちる。
の愛液と、僕の精液がぐちゃぐちゃに混ざり合ったもの。
それが彼女の白い太ももを伝って、シーツへ落ちていく。
(……本当に、中に出しちゃった)
限界まで彼女の奥を満たした証拠。
それがいやらしいほど鮮明に視界に飛び込んできて、また下腹部がうずく。
彼女の頬に手を添えると、のまぶたがそっと開いた。
(目が……)
その瞳は濁りが晴れるように、見慣れた色に戻っていた。
何度かまばたきをして。
ようやく焦点が合ったのか、が僕の顔をじっと見つめる。
「……はぇ、せんせい……?」
さっきまでの、熱に浮かされた表情とも。
悠蓮の妖艶な笑みとも、まったく違う。
ひどく間の抜けた声。
でも、のいつもの声だった。
「……あれ? 私、なんで……」
ぼんやりとした顔で、が周囲を見回す。
状況はまだ何もわかっていないらしい。
それでもいい。
「」
「……はい」
きょとんと僕を見つめ返したまま、はちゃんと返事をしてくれた。
僕の声を聞いて、僕を見て答えてくれる。
ただそれだけのことが、どうしようもなく嬉しくて。
「」
「……はい」
「」
「……はい、先生」
「」
「……はい……?」
「」
「……せんせい、どうしたの……?」
何度も名前を呼ぶと、少しだけ困ったようにが首を傾げた。