第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」
(さて、どうするか……)
の身体をさらに、自分の胸に深く抱き寄せた。
とにかく、体内に残っているこの呪力を取り除かないと。
(……中和できれば一番早いんだけど)
正のエネルギーを流し込んで、負のエネルギーを相殺する。
それが一番確実だろうな。
だけど、は反転術式が効きにくい。
「……ほんと、面倒な身体してるよね、」
僕の正のエネルギーをどうにかして、の中に直接入れられないだろうか。
(術式がダメなら……あ)
ふと、ある手段が頭をよぎる。
それは、ひどく理にかなっていて。
もっと原始的な方法で――
「……いやっ、ん……っ」
僕は、の頬を両手でしっかりと挟み込んだ。
嫌がって首を振る動きを完全に封じ込める。
「ちょっとだけ、我慢して」
その吐息ごと塞ぐように、僕はの唇にキスをした。
「……んっ、ぁ……!?」
びくりとの身体が大きく跳ねる。
拒絶するように閉じられた唇を無理やりこじ開けて、舌を滑り込ませた。
「……んっ、く……」
が離れようとするが、頬を押さえて唇を塞ぎ続ける。
(飲んで……全部)
そして、の口内に僕の唾液を少しずつ送り込んでいく。
僕は他人に反転術式をアウトプットすることはできない。
でも、僕自身の体液になら、正のエネルギーを乗せられる。
それをに流し込めば――
やがて、コクリと小さな音と共に、がゆっくりと飲み込んだ。