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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


***



扉が閉まる音がして、医務室には僕とだけが残される。



「……はっ……ん、……っ」



僕の腕の中で、が苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。
その背中を落ち着かせるよう、何度も撫でてやる。


(……いったい、どうなってる)


硝子から、が意識不明で倒れたと連絡を受けた。
残っていた仕事は力技で無理やり終わらせて、最速で高専に飛んで帰ってきた……なのに。


は、見知らぬ男の背中に腕を絡ませてキスしていた。


いや、見知らぬ男じゃない。
須和清仁。
最近、高専に出入りしてるとは聞いてたけど。


(……あいつ、とキスしやがって)


脳裏にこびりついた光景を思い出すだけで、イライラする。


僕は、制服の袖口での口元をごしごしと何度も拭いてやる。
その度に、が嫌がるそぶりを見せるが無視した。


冷たくなったの頬を両手で包み込む。



「。僕の声、聞こえる?」

「……ぁ、はっ、……」



返ってきたのは、熱に溶けたようなうわ言だけ。
虚ろな瞳は、僕の顔をまったく映していない。
ただ苦しげに、荒い息を吐いて身を捩るだけだ。
さっき、先生と呼んだのはたまたまか。


術式自体はすでに解かれているが、後遺症か?

……いや。
それだけで、ここまでなる?

それに、どうしての身体から呪力を感じる。

この子自身は、呪力を生まない。
薬か。
おそらく、ただの薬じゃない。
呪物か。
それとも、呪力を含ませた何か。


(……それよりも)


さっきからの身体をもやもやと巡っているもの――魔導だ。
六眼でも見えないけど、ずっと深い底の底で暴れ回っている気配がする。


この体内の呪力が、の魔導に影響している……というところかな。
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