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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


「……」



さっきまで須和先輩に向いていた殺気が、徐々に薄まっていく。


五条はベッドへ駆け寄ると、熱に浮かされる彼女の身体を抱き起こした。
背中に腕を回し、自分の胸元へ引き寄せる。

壊れ物を扱うように。
それでも、もう二度と離さないとでも言うように。
五条は、彼女を深く抱きしめていた。



「硝子」



を抱きしめたまま、五条が顔だけをこちらに向けた。
蒼い瞳が、私を射抜く。



「二人にして」



有無を言わせない、絶対的な圧力。



「聞こえなかった?」



が苦しげに身をよじると、 五条がその背中をゆっくりと撫でた。



「出てけって言ってんの」



今の五条に、これ以上何を言っても無駄だろう。


私は、深く息を吐いた。



「……わかった」



床に座り込んでいる須和先輩の腕を掴む。



「先輩、行きましょう」



須和先輩が、よろけながら立ち上がる。
先輩を無理やり立たせて、扉へと向かった。


後ろから、シーツが微かに擦れる音がした。



「大丈夫。もう僕がいるから。……僕の声だけ、聞いてて」



聞いたことのない声だった。
甘くて、切実で。
まるで、を必死にこちら側へ繋ぎ止めようとしているような。


私は振り返ることなく、医務室の扉を閉めた。
その向こうに、五条とだけが残される。


(……頼んだよ、五条。惚れた女も守れなくて、何が最強だ)


使われないままのアンプルだけが、私の手の中に残った。
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