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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


開け放たれた扉の向こう、そこに立っていた。
目隠しを外した五条が。
剥き出しになった六眼は、ベッドの上の二人を氷みたいに見下ろしていた。



「五条――」



私が呼び止めるより早く、五条はもうベッドのそばに立っていた。



「……っ、がっ!?」



五条の拳が、須和先輩の頬を殴り抜いていた。
先輩の身体がよろめき、ベッド脇の棚に肩をぶつける。
薬品の瓶がかたかたと揺れた。
先輩は、苦悶の声を漏らして床に崩れ落ちる。



「五条……っ!?」



私の声なんて、こいつの耳には届いていない。
五条は床に倒れた須和先輩の胸ぐらを片手で掴み上げた。



「……何してんの、お前」



地を這うような、低い声。
空気がびりびりと震えて、呪力が立ち込めている。



「やめろ、五条! 落ち着け!」



私は慌てて駆け寄り、五条の腕を強く掴んだ。
岩みたいに固くて、まったくびくともしない。



「離して、硝子」

「先輩は悪くない! これは、が錯乱して――」

「だから何?」



五条の六眼が、ギリッと私を睨みつけた。


(……本当に、こいつは)


五条悟という人間が、どれだけ規格外なのかは知っている。
呪術師としての強さも。
まともな人間の尺度では測れないところも。
それでも、ここまで露骨に理性を飛ばすところは、そう何度も見たことがない。

のことになると、この男は――。





「……せん、せ……」



かすれた声が、ベッドの方から落ちた。
私の声にも、須和先輩の声にも、まったく反応しなかったのに。



「……っ」



五条の手が止まる。
須和先輩の胸ぐらを掴んでいた手が、パッと離された。


ドサッと音をたてて先輩が床に落ちたが、五条はもう視界に入っていないようだった。
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