第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
「どんなに気高く抵抗する人間でも、一度この快感を与えれば、最後は自ら尊厳を捨てて私にすがりつくようになる……お前もすぐにそうなるさ」
その言葉を聞いた瞬間、身体の芯が冷たくなった。
これから何をされるのか、考えたくない。
怖い。気持ち悪い。
泣きたくなんかないのに、涙がボロボロと頬を伝って落ちていく。
涙で滲んだ視界に、ハサミの刃先が私の襟元へ向けられたのが見えた。
ジョキッ――。
布が裂ける音がした瞬間、襟元から入り込んだ空気が肌を撫でた。
「ひ、ぁ……っ!」
ハサミで服を切られているだけなのに。
ぞくぞくする。
嫌なはずなのに、身体の奥が甘く痺れていく。
こんなの、違う。
気持ちいいなんて、思いたくないのに。
ジョキッ、ジョキッ。
パジャマの布地が、少しずつ切り裂かれていく。
「どうだい? ハサミが動くたびに揺れる、そのわずかな空気でさえも感じるだろ」
やめてっ……!
そう叫んで、強く拒絶したいのに。
「あ……っ、ん、ぁ……っ」
口からこぼれ落ちるのは、自分でも信じられないくらい甘くて、熱を帯びた声ばかり。
(やだ、こんなの……っ)
刃先が動くたびに、肌の上を這う空気が、まるで直接指で撫で回されているみたいで。
身体はビクビクと快感に震えてしまう。
最後に、下着の真ん中が断ち切られた。
はらりと布が左右に落ちて、胸があらわになる。
(見ないで……っ)
惨めで、恥ずかしくて。
こんな男に好きにされて悔しくて。
涙が止まらない。
「いい眺めだ」
細井がひどく満足そうに笑うと、持っていたハサミをくるりと裏返した。
そして、ハサミの持ち手で、私の胸の先端をぐりぐりと押し当てる。
「ひ、やっ、ぁ、あっ!?」
ただ、硬いプラスチックの端が触れただけ。
なのに、触れた場所から気持ちいいのが一気に広がって、下腹部が勝手に疼く。
(だめ……っ、これ以上は……っ!)
そう思うのに、身体だけが別の方向に向かっていく。
「あ……っ、やめ、ぁっ……!」
さっきの刺激ですでにつんと立った先端を、さらに何度もこすり上げられた。
ぞくぞくする感覚が、逃げ場もなく積み重なっていく。