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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」


「つまり今のお前は、身体に入ってくる感覚が全部、私の都合のいい形に変わっている」



細井は自慢げに、手の中の空になった小瓶を揺らした。



「最近、面白いルートからこの『薬』を手に入れてね。私の術式と組み合わせれば、最高に効率よく感覚を支配できることに気づいたんだ」



面白いルート。
あの「Re:bloom」と、関係があるんだろうか。
聞きたいことも、問い詰めたいこともある。
けれど、頭がうまく働かない。



「子供の頃は、この術式をコントロールすることが難しくてね。だから……ずいぶん試したよ」



細井先生は、懐かしい思い出でも語るみたいに目を細めた。



「私を馬鹿にした同級生。見下してきた教師。私に意見した大人たち」

「最初は、痛みで十分だと思っていた。小さな刺激を、耐えがたい苦痛へ変える。それだけで人間は簡単に崩れる」

「だが、大人になって気づいたんだ。本当に人間が壊れるのはね」



にんまりと、細井の口元が歪む。



「心と身体の反応が、噛み合わなくなった時だ」



……なに、それ。
嫌な予感が膨らんでいく。



「私に盾突いた、あの女教師。陰で私の悪口を叩いていた女子生徒たち……本当に傑作だったよ」


女教師。
女子生徒たち。


その言葉で、任務の前に先生が言っていた話が頭をよぎった。



『最近、生徒が複数人倒れて病院送りになってるらしいんだよね』



病院送りになった生徒たち。
原因不明の体調不良。


まさか。
まさか、それも。
この男が――。



「何を……した、の?」

「わからないか。人間が最も無防備に、最も惨めに壊れるのは……理性を手放し、本能のまま『快感』に溺れる時だとね」



その言葉の意味を理解する前に。
細井のひやりとした指が、私の首筋の肌をそっと撫でた。



「ひ、あっ……!」



弾かれたように、大きく身体が跳ねた。


(な、に、これ……っ)


ただ撫でられただけなのに、全身を駆け巡る強烈な感覚。
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