第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
撮れた写真を見て、一気に恥ずかしさが押し寄せてきた。
自撮りするの慣れてないから、なんだか変な顔をしている。
でも、何度も撮り直すのもなぁ。
これ以上、うるさくするわけにもいかないし。
画面の中の自分と、しばらく睨めっこする。
……もう、これでいいや。
先生が見たいって言ったんだから。
「ええいっ」と、送信ボタンを押した。
写真がトーク画面に吸い込まれていく。
(……送っちゃった)
急いで、パタパタと文字も打ち込んだ。
『変でも、絶対に笑わないでくださいね』
言い訳みたいなメッセージも追加して、送信。
すると、ポンッとすぐに吹き出しが現れた。
『あはは、なにこれ。、自撮り下手だね〜』
笑わないでって言ったのに。
どうせ下手ですよ。
むっとしながら文句を言おうと、文字盤をタップした、その時。
『でも、めちゃくちゃかわいい』
『僕の腕の中で寝ぼけてる時みたいで好き』
ドキン、と心臓が大きく跳ねた。
顔が一気に熱くなって、嬉しさと恥ずかしさで身悶えしそうになる。
からかわれたのか、褒められたのか。
本当に、この人は心臓に悪い。
『よし、かわいさに免じて仕事頑張っちゃおうかな』
『…………伊地知が』
ガクッと肩が落ちそうになる。
もう。
すぐふざけるんだから。
『頑張るの、先生じゃないんですか?』
『えー。僕が自ら動くなら、それなりのご褒美がないと』
ご褒美……?
嫌な予感がする。