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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」


「がっ、げほっ……!!」



突然、首のあたりを掻きむしるようにして激しく咳き込み始めた。



「えっ……!? どうしたの!?」



前のめりになる彼女の肩を支える。



「大丈夫? 苦しいの? 誰か呼んで――」



その時、ドアの向こうで、かすかに床板が軋む音が聞こえた気がした。


(っ、まさか……!)


勢いよくドアを開け、廊下へ飛び出す。



「……誰も、いない」



みんな自室待機しているのか、他の生徒の姿は見当たらなかった。
廊下には、静寂だけが広がっている。


でも、間違いない。


(やっぱり、次はこの子を狙っているんだ……っ)


急いで彼女のもとへ引き返す。
背中をさすろうとしたが、彼女はゴホゴホと咳き込みながら、私の手を強く払いのけた。



「……大丈夫、だからっ」



呼吸を荒げながら、彼女は自分の胸元をぎゅっと押さえている。
そして、もう片方の手で自分のスマホの画面を見つめていた。
画面の光が、彼女の青ざめた顔を照らしている。
何を、見ているんだろう。



「でも、すごく苦しそうだし……保健の先生を呼ぶ?」

「いい! 呼ばないで……っ」



彼女はスマホを隠すように伏せると、顔を背けた。
さっきまで心を開きかけてくれていたのに、また厚い壁ができてしまったみたいだ。



「さっき、何か言いかけて……」

「あれは……っ」



女の子が、早口で私の言葉を遮る。



「友達があんなことになって……気が動転してただけ。深い意味はないわ。だから、もう忘れてっ」



これ以上は何も話さない。
そんな強い拒絶が、彼女の震える背中から伝わってきた。




「……わかった」



それ以上は踏み込めなかった。
払いのけられた手を、行き場のないまま引っ込める。


部屋の中は、彼女の荒い呼吸だけが響いていた。
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