• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」


須和さん、そんな人気なんだ。
確かに、雑誌の表紙に載っている須和さんは、研究者と言うよりモデルさんみたいな雰囲気だった。


……そうだ!
流行の話題なら、少しは気が紛れるかもしれない。


(先生、ごめんなさいっ)


心の中で大好きな人にこっそり謝る。
これは、この子を少しでも安心させるためですから。



「うん。須和さん、すごくかっこいいよね。私も、本読んでちょっと気になってたんだ」

「……本、読んだの?」

「あ、うん。難しいところも多かったけど……なんか、言葉が綺麗で」

「わかる。須和先生の文章って、少し詩みたいよね」



あ、食いついてくれた。
よし、いい感じ。
話しやすい空気になった気がする。


この流れを途切れさせないように、話題を変えて他愛もない話を続けた。


授業で出た難しい課題のこと。
食堂で人気のデザートのこと。
言葉少なではあったけど、彼女も話をしてくれるようになった。
さっきより、表情もやわらいでいる。





「……ちゃんと話してると」



女の子が、不意にぽつりと呟いた。



「不思議。なんだか……優しい気持ちになれる」

「……え?」

「この学校って、表向きは綺麗で、みんな上品で、何もかも整ってるみたいに見えるでしょ」

「でも、裏では全然違うの。嫉妬とか、妬みとか、見栄とか……そういうのばっかり」

「私も、そういう空気に慣れすぎてたのかもしれない」

「……」

「ちゃんみたいな子が友達だったら」



女の子の声が、かすかに震えている。



「私、あんなこと……しなかったかもしれない」



あんなこと。
その言葉に、胸の奥がざわつく。



「……あんなことって?」



私は椅子から立ち上がり、彼女の目線に合わせるようにベッドのそばに膝をついた。


責めたいわけじゃなかった。
ただ、この子を助けたい。

そのためには、彼女が何を抱えて怯えているのかを、知らなきゃいけない。



「……よかったら、話してほしい。『あの子』って、誰なの?」



彼女の目が、わずかに揺れた。



「それは……――」



答えようとした、その時だった。
/ 880ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp