第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
どうやって誤魔化そう。
ミステリー小説が好きで、つい首を突っ込みたくなっちゃったとか?
あれでもないこれでもないと言い訳を探していると、野薔薇ちゃんが真澄ちゃんの顔を真っ直ぐに見た。
「……真澄には、ごまかさずに言うわ」
「実は……私とは呪術師なの。この事件を調べるために、この学校に潜入してんのよ」
「じゅじゅつ……し?」
真澄ちゃんが、何のことかわからないようにぽかんとしている。
ちょっと、野薔薇ちゃん!?
バラしちゃっていいの!?
私は慌てて、野薔薇ちゃんの腕を掴んだ。
「い、いいの!? そんな、本当のこと言って……っ」
呪術のことは、一般の人には絶対に秘密だ。
確か、呪術規定にもそう書いてあった気がする。
「大丈夫よ。真澄は知ってるから」
「そうなの?」
「ええ。呪力の存在とか、そういう見えない世界のこと。昔、私が村にいた頃に話したの」
真澄ちゃんは、こくこくと頷いた。
「全部わかるわけじゃないけど……野薔薇ちゃんが、そういう世界に関わってることは知ってる」
「……こんな厄介事に、あんたを巻き込むつもりはなかったんだけど。悪いけど、協力してもらうわ」
「うん。私ができることなら、なんでも」
普通は怖がって逃げ出すような話なのに、二人の間にある強い絆が伝わってくる。
「それで、何か心当たりある?」
野薔薇ちゃんの問いに、真澄ちゃんはすぐには答えなかった。
話すべきかどうか、迷っているみたい。
「真澄?」
「……」
「あ、言いたくないなら無理しなくても……」
「ううん、違うの」
真澄ちゃんは首を横に振った。
「これは……人から聞いた話だから、確証はないんだけど――」
人から聞いた話。
つまり、ただの噂かもしれない。
でも、真澄ちゃんの顔は、軽い噂話をする時のものではなかった。
「中等部の頃にね」
真澄ちゃんは、膝の上で重ねた手に力を込める。
「そのグループの子たちが、一人の子を……退学に追いやったことがあるって」