第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
「そ。この学校で一番幅利かせてる、いけすかない一軍グループ。だから、その子たちを恨んでる奴は、この学校にいてもおかしくないってわけ」
その言葉で、さっきの子の顔が浮かんだ。
真っ青な顔で、何度も繰り返していた言葉。
「あのね、さっき部屋まで送った女の子がね……すごく怯えてて。『次は私だわ』って、言ってたの」
「『あの子の呪いよ、殺される』って、泣き叫んで……パニックになってた」
「……『あの子』って誰よ」
「わかんない。寮母さんに追い出されちゃったから、そこまでは……。あ、それとね! 被害者の子と、化学の細井先生が関係してるかもっていう情報も掴んだよ! 亡くなった子が、何度かあの化学準備室から出てくるのを見た人がいて……」
「でかしたわ、!」
バンッ!と勢いよく腕を叩かれた。
「あぅっ……」
い、痛い……。
野薔薇ちゃん、力強い。
叩かれたところをさする。
野薔薇ちゃんはそんな私に構うことなく、くるりと真澄ちゃんの方へ向き直った。
「ねえ真澄、その『あの子』って誰か心当たりない? その一軍グループに恨み持ってそうな奴とか」
「あ、最近学校を休んでる子とかいなかった? あと、細井先生とよく一緒にいた子とか!」
私も、真澄ちゃんの方へ身を乗り出す。
「それから、最近そのグループ内で揉め事とかは!?」
「そのグループの子たちから、酷いことされてた子とか……!」
矢継ぎ早に言葉をぶつける。
事件の尻尾を掴みかけて、野薔薇ちゃんと二人で完全に真澄ちゃんを質問攻めにしてしまっていた。
真澄ちゃんは少し後ずさりして、目を丸くする。
「ちょ、ちょっと待って……野薔薇ちゃん、ちゃん。どうして二人が、この事件調べてるの?……なんか、探偵みたい」
「「え?」」
あっ……しまった。
真澄ちゃんは、呪術のことなんて何も知らない一般人だ。
私たちは表向き、ただの転校生としてこの学校にいることになっている。
まさか、「呪いによる連続殺人事件の犯人を追っている呪術師です」なんて、本当のことを言えるわけがない。