第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
(嘘、でしょ……)
白い制服のあちこちが、内側から引き裂かれていく。
破れた布地の隙間から飛び出してきたのは、太く、脈打つような植物の根だった。
「あ……っ、ぎぃ……っ」
皮膚を突き破り、血管に絡みつくようにして、根が生き物みたいに蠢いている。
女の子の白い肌が、みるみるうちに血の気を失って、土気色に変わっていく。
助けを求めるように、彼女が大きく口を開いた。
けれど、そこから零れたのは悲鳴ではなく――真っ白な花びらだった。
須和さんが言ってた……血を吸って育つ花。
なのに、その花は怖いくらい白くて。
やわらかく、清らかで、だからこそ――吐き気がするほどおぞましかった。
彼女の胸元が、内側から盛り上がる。
肋骨が皮膚を突き破り、その隙間を押し広げるようにして、太い根が勢いよく飛び出してきた 。
「あ……、……っ」
肉を裂いて、最後の一輪が狂い咲くようにして胸の中央に姿を現した 。
生きている人間から、花が咲いた。
その光景に、恐怖で身体が動かない。