第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
「そういえば、思ったんだけど……もし生徒が頼んだんだとしたら、荷物の宛先は学校じゃなくて、この寮に指定するんじゃないかな」
「それに……この寮に届く荷物って、全部事前に中身のチェックを受けなきゃいけないルールだし。怪しい種なんか届いたら、すぐバレちゃいそう」
言われてみれば、その通りね。
ここは全寮制。
生徒がプライベートな買い物をするなら、わざわざ学校なんかに届けさせる必要はない。
「となると、被害者の子が自分で頼んだとは考えにくいわね。誰かが荷物を受け取って、あの子に飲ませた……」
「飲ませたって……」
がごくりと喉を鳴らした。
「もちろん、まだ決めつけるつもりはないわよ。でも、その線も含めて調べる必要がでてきたってこと。宛先を堂々と学校に指定できて、しかも誰にも怪しまれずに小包を受け取れる人間。……教員か、学校関係者が怪しいわ」
「……やっぱり、細井先生が」
「今のところそいつの周辺を探るのが一番の近道ね」
「じゃぁ、もう一度あの準備室を調べに行かなきゃ」
本当に懲りないわね、この子は。
さっき危ない目に遭ったって言ってたでしょうが。
私はすかさず、にビシッと指を突きつけた。
「あんたはダメよ」
「えっ」
「もう、その細井って先生にバッチリ顔と名前、覚えられてんでしょ」
図星を突かれて、がうなだれる。
「…………はい」
「それに、そいつが犯人なら、怪しいものはもう準備室から移してるわよ」
「そ、そっか……」
「は、被害者の子がその細井と繋がりがあったかどうかを探って。寮で相部屋だった子とか、クラスの連中からうまく聞き出しなさい」
「うん、わかった。明日、頑張ってみる」
「私は私で、その先生について探ってみるわ」
これで、明日やることは決まった。
まだ確証はないけど、少なくともどこを探ればいいのかは見えてきた気がする。
作戦が決まって、私はベッドの上でぐーっと大きく伸びをした。
時計を見ると夕食の時間だ。