第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
「……別に。あんなクソ田舎の、数少ない知り合いってだけよ」
「ふふっ、そっか」
はそれ以上追及してこない。
ただ、柔らかく微笑んで私の言葉を受け入れてくれる。
(ほんと。こういうところよね)
無理に踏み込まず、ちゃんと寄り添ってくれる。
のそういうところが、一緒にいて心地いい。
(まぁ、絶対に口には出してやらないけど……)
むず痒くなった感情を誤魔化すように、私はじろりと彼女を見据えた。
「あんた、それより。被害者の子と同じクラスなんだから、そっちの調査はどうなのよ?」
「うっ……」
途端に、が分かりやすく目を逸らした。
「そ、そっちは……全然でして」
もじもじとシーツを指でなぞりながら、どんどん声が小さくなっていく。
「女子の噂話といえばトイレだと思って、ずっと個室で張り込みしたりしたんだけど……」
「なんでトイレ?」
思わず、素の声が出た。
「えっ。だって、ドラマとかだと、トイレで内緒話とか噂話してるし」
大真面目な顔で、とんでもないことを言い出す。
(この子、完全にテレビの見すぎでしょ……)
の天然ぶりに、開いた口が塞がらない。
「で? その古臭い張り込みの結果は?」
「……足が痺れただけで、終わりました」
がっくりと肩を落とす。
その情けない姿を見ていたら、なんだか怒る気も失せてしまった。
「はぁ……。まぁ、あんたに完璧な潜入捜査を期待した私がバカだったわ」
「うぅ、ごめんなさい……」
「まあ、いいわ。こっちは少しだけ収穫があったし」
「えっ、ほんと? さすが野薔薇ちゃん!」
「ふふん、当たり前よ。それで、被害者の子だけど」
真澄から聞いた被害者の人物像を共有すると。
同じ結論に行き着いたのか、も顔を強張らせた。
「じゃあ……やっぱり、被害者の子じゃなくて、別の誰かが荷物を受け取ったのかな……?」
「ええ。その可能性が高いわね」
すると、は何かを閃いたようにポンと手を打った。