第25章 「可惜夜に眠る 番外編」
【おまけ②】
※第23章の後編ラスト直後。砂浜で涙の和解を果たし、二人で手を繋いで別荘へ帰る道すがらの出来事です。
砂浜を抜けて、別荘に続くアスファルトの道へ戻る途中。
(……あれ?)
ふと隣を歩く先生のポケットが、歩くたびにチャリ、チャリと鳴っているのに気づいた。
「……先生。さっきから何の音ですか?」
「んー? 飴ちゃんかな?」
「飴にしては、すごく重そうな金属音がしてますけど」
先生は手を繋いだ方とは反対の手で、わざとらしく自分のポケットをポンポンと叩いた。
チャリッと、さっきよりはっきりとした音が響く。
「……先生。ちょっと見せてください」
「えー。、僕のプライバシーを暴く気? 大胆だねぇ」
「変なもの持ってたら困りますから」
私がじっとポケットを見つめると、先生は「はいはい」と観念したように中身を少しだけ引っぱり出した。
銀色に輝く頑丈そうな金属の輪……の周りに、ド派手なピンク色のふわふわのファーがたっぷりと付いている。
「…………えっ」
思わず足が止まった。
それを見て、先生が少しだけ口角をニヤリと上げる。
「これね、最近買ったんだ。のために♡」
先生が指でピンクのふわふわを撫でながら、悪戯っぽく笑う。
私のため……? なぜ?
「あ! 先生、これって!」
「お、わかっちゃった? さすがにこの形見たら——」
「リストウォーマー、ですね!」
先生の言葉を遮って、ピンときた答えを自信満々に口にした。
「手首温めるやつ。今は、こんな形もあるんですね。チェーンついてるし」
「……」
「でも、ピンクのふわふわ付いてて可愛いですね」
そう笑って、先生を見上げると。
先生は数秒間ぱちぱちと瞬きをして、呆れたように天を仰いだ。