第25章 「可惜夜に眠る 番外編」
「伊地知ぃ……っ!」
「は、はいっ!」
「今すぐネットで手錠ポチって」
「……は?」
「だから、手錠。頑丈で、かつに似合いそうな可愛いやつ。あと窓にはめ殺しの鉄格子つける業者も呼んで」
「ご、五条さん……?」
「あの子が僕から離れる前に、五条家の地下室に監禁する。一生、僕のそばから離れられないようにして……」
「五条さんっ! ついに犯罪者に成り下がるおつもりですか!? 私を共犯にしないでください!」
半泣きで必死に止める伊地知さんと、本気なのか冗談なのかわからないトーンで手錠のサイズを考え始める五条先生。
「ちょっと待って! 手錠!? 監禁!? 先生とって、そういう関係だったの!?」
俺の叫びなんて、もう誰の耳にも入っていなかった。
「安心しろ伊地知。こいつが犯罪に走ったら、私が真っ先に警察に通報してやる」
「硝子さっきから酷い! 僕の純愛をなんだと思ってるの!」
「純愛って言葉の意味、辞書で引き直してこい」
硝子さんの冷たいツッコミに、先生は「ひどい!」とベッドの上でゴロゴロと転がり続けている。
伊地知さんは頭を抱えて、ついにその場にしゃがみ込んでしまった。
(……マジかよ)
担任の先生と同級生が付き合ってるって事実だけでも、脳みそパンクしそうなのに。
なんだこの、規模と方向性がバグりすぎたクソデカい愛情は!
が抱えてるもんがどれだけ重いかは、俺にはわかんねーけど。
でも、今の状況を見て、これだけははっきり言える。
(頼む、絶対高専辞めないでくれ……!)
もし辞めたら、マジでこの人に連行されるぞ。
先生、一応俺の恩人だし……
犯罪者になるのだけは、俺も全力で阻止したい。
そして、の平和な未来のためにも。
俺は心の中で、そっと両手を合わせた。