第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
「右! もっと右だってば!」
「ツナマヨ!」
「ちょっと、! あんたどこ向いてんのよ! そっちは海!」
いつの間にか、タオルで目隠しをされたが、木の棒を持たされてフラフラと砂浜を歩かされている。
四方八方から飛んでくる容赦ないヤジに、完全にパニックになっていた。
「えっ、み、右ってこっち……?」
「違う違う! 逆! 振り返って真っ直ぐ!」
虎杖の声に、はぐるんと勢いよく振り返る。
そして、スイカから完全にずれた方向に向かって――
「えいっ!!」
気合十分な声とともに、木の棒を全力で振り下ろした。
バフッ。
虚しく砂を叩く、鈍い音。
「……」
「ぶっ……あははははっ!! 、お前どこ叩いてんだよ!!」
虎杖とパンダ先輩が、腹を抱えて砂浜を転げ回っている。
目隠しをしたまま「えっ? 割れました!?」と見当違いな方向へ叫ぶあいつを見て、釘崎は深く頭を抱えていた。
(……ったく。特級相当を送ったやつとは思えないな)
俺は少し離れた場所から、呆れながらその光景を眺めていた。
その時だった。
「恵、ありがとね」
その声に視線を向けると、いつの間にか五条先生が俺の隣に並んでいた。
「……なんですか、急に。不気味なんですけど」
俺が露骨に顔をしかめると、先生はヘラッと笑った。
「いやー、別に。それより、夏合宿みんな楽しんでくれたみたいだね。それぞれ成長もできたし」
「教師がいいからかな。当然だね」
(……出たよ、この自信過剰)
俺は深くため息をついて、もう一度砂浜の方へと視線を向けた。
目隠しを外されたが、盛大な勘違いに気づいて顔を真っ赤にしている。
先生は、そんなあいつを愛おしそうに見つめていた。