第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
「五条先生、楽しそうだな」
虎杖がにやにやしながら言う。
その横で、釘崎が大きく息を吐いた。
「ほんと、もよ。あんな大人に捕まって……苦労するわね」
「ツナマヨ」
狗巻先輩も、うんうんと深く頷いている。
「……みんな知ってたんですか?」
俺が聞くと、パンダ先輩が当然だというように笑った。
「だって、悟さ。といる時、術式解いてるし。無意識なのかは知らんけどな」
「でも、虎杖。あんたまで気づくなんてね。そういうの、一番鈍感そうなのに」
釘崎に指摘されて、虎杖はピタッと動きを止めた。
それから、なぜか気まずそうに頭をポリポリと掻きながら、視線を泳がせる。
「いやー……気づいたっていうか、聞いたっていうか、なんていうか……」
「なんだよ、はっきりしねーな」
歯切れの悪い虎杖に、真希さんがすかさず鋭いツッコミを入れた。
「ま、そんなことより!」
パンダ先輩が、俺と虎杖の背中を力強く叩いた。
「なんか二人だけで遊んでるの、悔しーじゃん? 俺たちも海行こーぜ!」
「そうね。盛大に邪魔してやりましょ」
釘崎が、ニヤリととびきり悪い顔をして笑う。
「しゃけ!」と狗巻先輩も続き、虎杖も「おう! 行く行く!」と便乗した。
「伏黒! お前も行くぞ!」
虎杖が、俺の腕をガシッと掴む。
「いや、俺は別に……」
「いいからいいから! ほら、行くぞ!」
抵抗する間もなく、俺は砂浜へと引きずり出された。
「先生! ー!」
虎杖のバカでかい声が、朝の静かな海に響き渡る。
波打ち際で振り返った二人が、そろって目を丸くしていた。
「スイカ割りしよーぜ!!」
虎杖がどこから持ってきたのか、丸々と太ったスイカを片手に高く掲げた。
(……朝の六時に、なんでスイカ割りなんだよ)
俺の呆れた視線なんてお構いなしに、静かだった砂浜はあっという間に騒がしい宴会場へ変わってしまった。