第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
思い返せば、先生は隠す気なんて最初からなかったのかもしれない。
砂浜へ目をやると、が笑って、先生がその頭を愛おしそうに撫でている。
朝の海風に髪を揺らしながら、真希さんが静かに呟いた。
「まぁ、確信したのは……悟から、のこと頼まれた時だけどな」
「頼まれた?」
「合宿の初日の夜さ。あの馬鹿に呼び出されたんだよ」
そう言うと、真希さんは少しだけ目を細めた。
合宿の初日。
夜も更けて、みんなが寝静まった頃。
私は合宿所の裏庭に、悟に呼び出されていた。
「やあっ、真希! こんな夜更けに僕と二人きりの星空デートなんて、ドキドキしちゃうでしょ?」
裏庭のベンチに腰掛けた悟が、ヘラヘラと笑いながら手を振っている。
「……あ? 何時だと思ってんだよ。セクハラで訴えるぞ」
「えー、冷たいなぁ」
私が心底嫌そうな顔で睨みつけると、悟はわざとらしく肩をすくめた。
「くだらねぇ。用がないなら帰るぞ。こっちは明日から特訓で忙しいんだ」
「待って待って! 帰らないでってば。ちゃんと用事あるから!」
私が面倒くさそうに足を止めると、悟はぽんぽんと自分の隣を叩いた。
当然そんな誘いに乗る気は毛頭なく、少し離れた場所に立ったまま、腕を組んで見下ろした。
「で? 用ってなんだよ」
「いやー、実は真希にちょっと頼みがあってさ……」
悟はそこで一瞬だけ笑みを薄めた。
「明日、と訓練してやってほしい。それで、厳しく現実を突きつけてやってほしいんだよね」
(は? なんだそれ?)
私は、小さく舌打ちをした。
「そんなの、お前が言えばいいだろ。あいつの担任なんだから」
悟は夜空を見上げ、どこか自嘲気味に笑った。
「僕が言ってもいいんだけどさ。……今のに僕が言うと、余計に拗らせちゃいそうだし」
「それに僕だと、どうしても……甘やかしちゃうから」
「真希が一番適任だと思ってね」