第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
「ちょっと。昨日の夜はあんなに可愛かったのに、朝は冷たいわけ?」
「〜〜っ! 返してください!」
「ほら、みんなが起きてくる前に抜け出すよ。……僕が君を独り占めできるうちにさ」
そう言うなり、先生は私の身体をひょいっと抱き上げた。
「きゃっ……!」
有無を言わさない、いつもの強引なペース。
でも、その腕の中は、どうしようもなく安心する。
(……ずるい)
こんなふうに抱えられたら、もう逆らえるわけがないのに。
こうして私たちは、まだ誰も起きていない別荘を、足音を忍ばせて抜け出した。
♢
砂浜に出ると、静かな朝の空気に、穏やかな波の音が響いていた。
まだ太陽が昇りきっていない砂浜は、少しだけひんやりする。
真っ白な砂の上には、二人分の足跡だけがまっすぐ続いていた。
「……なんでTシャツ羽織ってんの?」
隣を歩く先生が、これ見よがしにため息をつく。
私は、水着の上に被った大きめのTシャツの裾を、ぎゅっと握りしめた。
「だって……やっぱり、恥ずかしくて……っ」
「恥ずかしいって……今更? それに、今は僕しかいないでしょ」
「そうですけど……」
渋った、その瞬間。
先生の手が、私のTシャツの裾を掴んだ。
「あ、ちょっ……先生!」
抵抗する間もなく、頭の上からTシャツがするりと引き抜かれる。
「ぶっ……!」
バサッ、と布が擦れる音がして。
ひんやりとした朝の空気が、直接素肌に触れた。
慌てて両腕で胸元を隠す。
野薔薇ちゃんが選んでくれた、胸元に白いフリルがあしらわれたビキニ。
腰回りで華奢な紐が揺れるたび、ますます心許ない。
隠していた布がなくなってしまって、急に落ち着かなくなる。
「うん。やっぱり可愛い」
頭の上から、ひどく満足そうな声が降ってきた。
おそるおそる見上げると、先生が私の水着姿を上から下まで、じっくりと舐めるように見つめていた。
そんなに真っ直ぐ見られると。
視線が触れているところから、じわじわ熱くなっていく。
「でも、近くで見ると結構攻めてるね。野薔薇の趣味?」