第24章 「可惜夜に眠る 後編②**」
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(……んん)
つんつん、と。
一定のリズムで頬を突かれているのがわかって、重たいまぶたをなんとか持ち上げた。
ぼやけた視界のすぐ隣に、白い髪が見える。
「……せんせ、もう……朝……?」
「ううん。朝5時ぐらい」
「……ご、じ……?」
(……早すぎる)
昨日の夜、激しく抱かれたせいで。
身体の節々が、まだ甘くだるい。
頭も全然回っていなくて、目を開けているのもしんどかった。
「……むり。私、まだ寝ます……」
目を閉じて、シーツに深く顔を沈める。
でも、私の頬を突いていた指は、今度は私の鼻をつまんだ。
「んぶっ……!」
「だーめ。、海行くよ」
「……うみ?」
こんな朝早くから。
どうして突然、海に行かなきゃいけないんだろう。
「……なんで……?」
枕に顔を押し付けたまま、くぐもった声で聞き返す。
すると、頭の上で少しだけ拗ねたような声が降ってきた。
「だって、今回まともに海入ってないじゃん。今日、高専帰るのに」
確かに。
今回の合宿で、私は一度も海に入っていない。
泳げないなんて、嘘までついて。
(先生、気にしてくれてたんだ)
胸の奥が、じんわりあたたかくなる。
「それにさー。の水着姿、僕まともに見てないんだけど」
思わず、シーツの中で盛大に肩を落とした。
(この人、ただ水着見たいだけなんじゃ……)
さっきまでのじんわりした感動を返してほしい。
しんみりした気持ちが、波が引くようにすうっと消え去っていく。
「……お一人でどうぞ……」
そう言って、シーツを頭からすっぽりと被る。
すると次の瞬間、バサッと容赦なく剥ぎ取られた。