第21章 「可惜夜に眠る 前編」
「よっしゃ、次!」
サーブ権が一年生チームに移る。
虎杖くんがボールを持ってエンドラインに立った。
「いくぞっ!」
虎杖くんが放ったサーブは、真希さんほどではないけれど、風を切るような鋭い弾道を描いた。
それを、パンダ先輩が正面で受け止める。
「おっと! 一年にしてはいい球だぜ!」
ボールが高く上がり、狗巻先輩が滑らかにトスを上げる。
「明太子!」
そのボールの先には、助走をつけた真希さんが高く跳んでいた。
「倍にして返してやるよ……らぁっ!!」
ネット際からの強烈なスパイク。
さっきのアウトになったサーブ以上の殺気で、ボールが一年生コートへ叩き込まれる。
(ひっ……!)
私が悲鳴をあげる暇もなかった。
その落下点に、虎杖くんが飛び込む。
「拾ったっ!!」
ドォン!!
重い衝突音とともに、虎杖くんがレシーブする。
ボールの勢いは殺しきれず、高く真上に上がった。
ふわりと、ボールが私の頭上へ落ちてくる。
(えっ、わ、私!?)
「、繋げ!」
「ひぃぃっ! の、野薔薇ちゃんお願いっ!!」
私は両手を突き出して、無我夢中で前に押し出す。
ボールはへろへろと放物線を描いて、野薔薇ちゃんの方へ飛んだ。
やっと、ボール触れた……!
「ナイスよ、!」
野薔薇ちゃんが空中高く舞い上がった。
「東北の『守護神』とは私のことよ!!」
「それリベロだぞ」
すかさず伏黒くんがツッコむが、野薔薇ちゃんは空中で身体を大きく反らし、ボールを叩き込む体勢に入る。
「ローリング・サンダーーーッ!!!」
「それレシーブ技だから!!」
「リベロはアタックしないぞ!!」
虎杖くんとパンダ先輩のツッコミが重なる中――
野薔薇ちゃんの手のひらがボールを捉えて、渾身のアタックが相手コートへ突き刺さった。